世界には約6,500種類もの哺乳類が暮らしています。その中には、時速100kmを超えるスピードで走る動物もいれば、大きな体とは思えないほど速く走れる動物もいます。
動物たちが速く走る理由は、それぞれ違います。肉食動物は獲物を捕まえるため、草食動物は敵から逃げるためです。速く走れるかどうかは、生き残るための大切な能力なのです。
では、世界で一番速く走る陸上動物は何でしょうか?
百獣の王ライオン?それともチーター?
世界最速の陸上動物ランキングを見ていきましょう!
なぜ動物は速く走るの?
野生では、速く走れなければ生き残ることができません。
ライオンやチーターなどの肉食動物は、逃げる獲物を捕まえるために速く走ります。一方、シマウマやガゼルなどの草食動物は、敵から逃げるために速く走ります。
どちらも命を守るために進化した結果、驚くほどのスピードを手に入れました。しかし、速ければ速いほど良いというわけではありません。
チーターは世界一速く走れますが、長い距離は苦手です。反対に、プロングホーンのように少し遅くても長い距離を走り続けられる動物もいます。
動物たちは、それぞれの暮らしに合った走り方へ進化してきたのです。
動物はどうしてこんなに速く走れるの?
速く走る動物には、いくつか共通した特徴があります。
まず、脚が長く筋肉が発達していることです。歩幅が大きくなるため、一歩で進める距離が長くなります。
さらに、体が軽く、しなやかな背骨を持つ動物は、走るたびに体を大きく伸ばしたり縮めたりできるため、スピードを出しやすくなります。
また、長いしっぽを持つ動物は、急な方向転換でもバランスを保つことができます。
このような体の特徴が組み合わさることで、驚くほど速く走ることができるのです。
世界で最速の動物ランキング
20位 キリン

最高時速:約52km
キリンは世界で最も背の高い動物ですが、長い脚を生かして時速50km以上で走ることができます。
普段はゆっくり歩いていますが、ライオンなどの天敵に襲われると一気に加速します。強力なキックも武器で、大型の肉食動物でも近づくのをためらうほどです。
19位 グリズリー(ハイイログマ)

最高時速:約52km
キリンは世界で最も背の高い動物ですが、長い脚を生かして時速50km以上で走ることができます。
普段はゆっくり歩いていますが、ライオンなどの天敵に襲われると一気に加速します。強力なキックも武器で、大型の肉食動物でも近づくのをためらうほどです。
18位 ジャッカル

最高時速:約56km
ジャッカルはイヌ科の動物で、アフリカやアジアに暮らしています。
小動物を追いかけるための俊敏さがあり、素早い方向転換も得意です。
単独で狩りをするだけでなく、家族で協力してエサを探すこともあります。
17位 ミュールジカ

最高時速:約56km
ミュールジカは北アメリカに暮らす大型のシカです。
走るだけでなく、高さ2m以上、長さ10m近いジャンプをすることもできます。
ジャンプを繰り返しながら逃げることで、オオカミやピューマなどの天敵を振り切ります。
16位 モウコノウマ

最高時速:約64km
モウコノウマは世界で唯一残っている本来の野生馬といわれています。
中央アジアの広い草原で暮らしているため、長い距離を走る力に優れています。
現在は一度野生から姿を消しましたが、動物園での繁殖活動によって野生へ戻されるようになりました。
15位 シマウマ

最高時速:約64km
シマウマはアフリカのサバンナで群れを作って暮らしています。
ライオンやハイエナに狙われることが多いため、速く走る能力は生き残るために欠かせません。
最高時速は約64kmですが、急な方向転換も得意です。群れ全体で一斉に走ることで、天敵を混乱させながら逃げます。
14位 ハイエナ

最高時速:約65km
ハイエナはアフリカを代表する肉食動物です。
ライオンの獲物を横取りするイメージがありますが、自分たちで狩りをすることも多く、高い狩りの成功率を誇ります。
瞬間的な速さだけでなく持久力にも優れており、獲物を長い距離追いかけて疲れさせる狩りを得意としています。
13位 トムソンガゼル

トムソンガゼルは、アフリカのサバンナで暮らす小型のレイヨウです。
チーターの代表的な獲物ですが、すばやい加速と細かい方向転換を繰り返して逃げます。
高くジャンプする「ストッティング」と呼ばれる行動を見せることもあり、「まだ元気だから追いつけないよ」と天敵に知らせる意味があると考えられています。
12位 グレイハウンド

最高時速:約69km
グレイハウンドは世界で最も足が速いイヌです。
細長い体と長い脚を持ち、短距離では時速約69kmまで加速します。
昔はウサギやシカを追いかける猟犬として活躍していました。現在でもドッグレースで知られる犬種です。
11位 コヨーテ

最高時速:約69km
コヨーテは北アメリカに広く分布するイヌ科の動物です。
ウサギやネズミなどの小動物を追いかけるため、優れた脚力を持っています。
走るだけでなく、高さ約4mもジャンプできるほど運動能力が高く、都市部でもたくましく生きる適応力の高い動物です。
10位 アカカンガルー

最高時速:約72km
世界最大の有袋類であるアカカンガルーは、オーストラリアの草原に暮らしています。
走るというより、大きくジャンプしながら移動するのが特徴です。
一度のジャンプは約8mにも達し、速いときには時速70km以上になります。
しっぽをバランス棒のように使うことで、高速でも安定して跳び続けることができます。
9位 ヘラジカ

最高時速:約72km
ヘラジカは世界最大のシカの仲間です。
体重は800kg近くになることもありますが、その大きな体とは思えないほど速く走ることができます。
泳ぎも得意で、川や湖を渡って水草を食べることもあります。
巨大な角ばかりが注目されますが、力強い脚も大きな武器です。
8位 ジャックウサギ

最高時速:約72km
ジャックウサギは北アメリカに生息するノウサギの仲間です。
長い耳が特徴ですが、本当の武器は強力な後ろ足です。
最高時速約72kmで走るだけでなく、大きなジャンプを繰り返しながら進むため、コヨーテやワシなどの天敵を振り切ることがあります。
7位 ライオン

最高時速 約80km
百獣の王ライオンは、短距離なら時速80kmほどで走ります。
ただし、この速さを維持できるのは100〜200mほどです。
そのため、できるだけ獲物に近づいてから一気に飛びかかります。
6位 ブラックバック

最高時速:約80km
ブラックバックはインドやネパールなどに生息するレイヨウの仲間です。
細長い脚と軽い体を生かして、時速80km近いスピードで草原を走ります。
さらに持久力にも優れており、長い距離を走り続けられるため、ヒョウやオオカミなどの天敵から逃げ切ることもあります。
オスだけが持つ美しいらせん状の角も、ブラックバックの大きな特徴です。
5位 ヌー

最高時速:約80km
ヌーはアフリカの草原やサバンナで暮らす大型の草食動物です。
毎年、雨を求めて100万頭以上が大移動することで知られています。この「ヌーの大移動」は世界最大級の野生動物の移動といわれています。
移動中はライオンやチーター、ハイエナ、ナイルワニなど多くの天敵に狙われます。そのため、最高時速約80kmで走る脚力は、生き残るために欠かせない武器です。
群れで一斉に走ることで天敵を混乱させ、仲間と協力して危険を乗り越えています。
4位 クォーターホース

最高時速:約88km
クォーターホースはアメリカで誕生したウマの品種です。
短距離を全力で走る能力が非常に高く、「世界で最も短距離が速い馬」として知られています。
名前の由来は、4分の1マイル(約400m)のレースで最も速かったことから付けられました。
筋肉質な体と爆発的な加速力を持ち、ロデオ競技や牧場で牛を追う仕事でも活躍しています。
3位 スプリングボック

最高時速:約90km
スプリングボックはアフリカ南部に生息するレイヨウの仲間です。
最高時速は約90kmにもなり、チーターなどの肉食動物から逃げるために速く走ります。
この動物の一番の特徴は、「プロンキング」と呼ばれるジャンプです。
4本の足をそろえたまま2~3mも高く跳び上がることがあります。
このジャンプは「私は元気だから捕まえられないよ」という合図や、仲間への危険信号ではないかと考えられています。
2位 プロングホーン

最高時速:約95km
プロングホーンは北アメリカに生息する草食動物です。
最高速度ではチーターに及びませんが、長距離を走る能力では世界トップクラスです。
時速60km以上のスピードを長時間維持できるため、「世界一持久力のあるランナー」とも呼ばれています。
昔の北アメリカにはチーターによく似た肉食動物がいたと考えられており、その天敵から逃げるために速く走る能力が進化したという説があります。
現在ではその天敵は絶滅しましたが、驚異的な脚力だけが受け継がれています。
1位 チーター

最高時速:約112km
世界最速の陸上動物はチーターです。
最高時速は約112kmにも達し、わずか2~3秒で時速70km以上まで加速できます。
この加速力はスポーツカーにも負けないほどです。
チーターがこれほど速く走れる理由は、体のつくりにあります。
しなやかに曲がる背骨は、走るたびにバネのように伸び縮みします。
長い脚は一歩で7m以上進むことができ、大きな鼻と肺は大量の酸素を体に取り込みます。
さらに長いしっぽを使ってバランスを取り、急な方向転換も自由自在です。
しかし、全力疾走できるのは20~30秒ほどです。
長時間走ると体温が急激に上がるため、できるだけ獲物に近づいてから一気に追いかけます。
もし狩りに失敗すると、体力が回復するまでしばらく休まなければなりません。
チーターとライオン、速いのはどっち?
最高速度ならチーターの圧勝です。
チーターは最高時速約112km、ライオンは約80kmです。
しかし、「どちらが強いの?」と聞かれれば答えは変わります。
ライオンは筋肉が発達していて力が強く、体重300kg近い大型動物を倒すこともあります。
一方、チーターは体を軽くするため筋肉量が少なく、ライオンほどの力はありません。
つまり、
- 速さならチーター
- 力ならライオン
ということになります。
同じネコ科でも、生き方に合わせて違う進化をしたのです。
速く走れる動物の共通点
ランキングに入った動物には、いくつか共通する特徴があります。
まず、脚が長く筋肉が発達していることです。
さらに、体が軽く、背骨がしなやかに曲がるため、一歩で大きく前へ進むことができます。
また、長いしっぽを持つ動物は、走りながらバランスを取ったり方向転換をしたりするのに役立っています。
このような体の特徴が組み合わさることで、驚くほどのスピードを出すことができるのです。
人と動物はどちらが速い?
では、人間はどれくらいの速さで走れるのでしょうか?
男子100m走の世界記録は、時速約44.7kmです。
これは世界最高レベルのスピードですが、今回紹介したランキングでは20位のキリン(時速約52km)にも及びません。
つまり、人間より速く走れる哺乳類はたくさんいるのです。
しかし、人間には動物にはない優れた能力があります。
それは長い距離を走り続ける持久力です。
人間は汗をかいて体温を下げることができるため、長時間走り続けることができます。
一方、チーターやライオンは全力で走ると体温が急激に上がるため、短時間しか走れません。
速さでは動物にかないませんが、持久力では人間も優れた能力を持っています。
速いだけでは生き残れない
動物の世界では、足が速いだけで生き残れるわけではありません。
例えば、ライオンはチーターより遅いですが、大きな体と強い力を生かして狩りをします。
ハイエナは最高速度ではライオンより遅くても、長い距離を走り続ける持久力があります。
シマウマやヌーは群れで協力して走り、仲間と助け合うことで天敵から身を守っています。
また、キリンは強力なキック、ハイイログマは大きな体と力など、それぞれ速さ以外にも生き抜くための武器を持っています。
動物たちは、それぞれの暮らしに合った能力を身につけることで、自然の中を生き抜いているのです。
動物園では速く走る姿が見られないのはなぜ?
「動物園ではチーターやライオンが全力で走っているところを見たことがない」という人も多いでしょう。
野生では、エサを捕まえたり敵から逃げたりするために全力で走りますが、動物園では毎日エサが用意され、安全な環境で暮らしています。
そのため、命がけで走る必要がありません。
また、動物園では動物たちがけがをしないように運動場の広さにも限りがあります。
そのため、最高速度で走る姿を見る機会はほとんどありません。
代わりに、歩き方や体のつくりを観察すると、「この脚なら速く走れそうだな」「筋肉が発達しているな」など、新しい発見があるかもしれません。
まとめ
世界最速の陸上動物は、最高時速約112kmで走るチーターです。
一方で、ライオンは強い力を生かした狩り、プロングホーンは優れた持久力、スプリングボックは高いジャンプ力など、それぞれ違った能力を持っています。
速く走る理由も、獲物を捕まえるためだったり、天敵から逃げるためだったりと動物によってさまざまです。
動物たちは何百万年もの長い時間をかけて、それぞれの環境に合った体へ進化してきました。
動物園やテレビで動物を見るときは、「この動物はどれくらい速く走れるのかな?」と考えながら観察すると、これまでとは違った楽しみ方ができるでしょう。