ゾウのなかま

ゾウのなかまには、アジアゾウとアフリカゾウ、そしてアフリカの森林に暮らすマルミミゾウの3種類がいます。
以前はアフリカゾウとマルミミゾウは同じ種類と考えられていましたが、DNAを使った研究によって別種であることが分かりました。
アジアゾウはインドや東南アジアの森林を中心に暮らし、アフリカゾウより耳が小さいことが特徴です。また、アジアゾウはインドゾウ・セイロンゾウ・スマトラゾウ・ボルネオゾウの4つの亜種に分類されています。
ここでは、アジア最大の陸上動物であるアジアゾウを紹介します。
アジアゾウ

ゾウ目(長鼻目) ゾウ科 アジアゾウ属
絶滅危惧種
学名 Elephas maximus
英名 Asiatic Elephant
- 体長 550~640cm
- 体高 250~300cm
- 体重 2,700~5,400㎏
- 分布 インド、東南アジア(中国南部、スリランカ、タイ、ミャンマーなど)
- 生息地 森林、草原
- 食べ物 草・木の葉・樹皮・果実
- 寿命 60~70年
長い鼻を持つアジア最大の動物
アジアゾウは、アジアに生息する陸上動物の中で最も大きな動物です。長い鼻を器用に使い、食べ物をつかんだり、水を飲んだり、仲間とコミュニケーションを取ったりするなど、さまざまな場面で活躍します。
また、とても知能が高い動物としても知られています。優れた記憶力を持ち、家族や仲間との絆を大切にしながら群れで生活しています。
しかし現在は、森林伐採や農地の拡大による生息地の減少、人との衝突などによって野生の個体数が減少し、絶滅が心配されている動物です。
アジアゾウの分布

アジアゾウは、インドから東南アジアにかけて広く分布しています。
インドのほか、中国南部、スリランカ、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナム、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島などに生息しています。
主に森林で暮らしていますが、草原や森林と草原が入り混じる地域にも姿を見せます。水辺を好み、毎日水を飲んだり泥浴びをしたりしながら生活しています。
【生息地】森林、草原
アジアゾウの特徴

体の大きさ
アジアゾウは、アジア最大の陸上動物です。
体重は5トンを超えることもあり、太く丈夫な4本の足で巨大な体を支えています。アフリカゾウよりひと回り小柄ですが、それでも動物園で見上げるほどの大きさがあります。
オスはメスよりも大きく成長し、立派なキバを持つ個体が多く見られます。
鼻の使い方


ゾウの長い鼻は上くちびると鼻の一部分が伸びてできたものなんだよ。
アジアゾウの長い鼻は、上くちびると鼻が伸びてできた器官です。
鼻には骨がなく、約15万もの筋肉の束(筋肉ユニット)でできています。そのため、木の枝を持ち上げるような力仕事から、小さな木の実をつまむ細かい作業まで自由自在に行えます。
食べ物を口へ運んだり、水を吸い上げて飲んだり、体に水や泥をかけたりするほか、仲間同士で鼻を触れ合ってあいさつをしたり、子どもを優しく抱き起こしたりするときにも使われます。
また、鼻は非常に優れた嗅覚も持っており、遠くにある食べ物や水場の場所を見つけることもできます。

ゾウの鼻先は、アフリカゾウとアジアゾウで違いがあります。アフリカゾウは鼻先の出っぱりは上下1つですが、アジアゾウの鼻先の出っぱりは上部に1つだけです。
大きな耳で体温を下げる

アジアゾウの耳は、アフリカゾウより小さいものの、大切な役割を持っています。
耳にはたくさんの血管が通っており、大きく動かして風を送ることで血液を冷やし、体にたまった熱を逃がしています。
また、人には聞こえない低い音(低周波)を聞き分けることもでき、遠く離れた仲間とのコミュニケーションにも役立っています。
キバ
アジアゾウのキバは、長く伸びた門歯(前歯)です。
アフリカゾウに比べると短く、多くのメスでは外から見える大きなキバはありません。キバは木の皮をはいだり、地面を掘って水やミネラルを探したりするときに使われます。
また、繁殖期にはオス同士がキバを使って力比べをすることもあり、生きていくために欠かせない大切な武器となっています。
足音を立てずに歩く

アジアゾウは体重が5トンを超えることもありますが、驚くほど静かに歩くことができます。
足の裏には厚い脂肪のクッションがあり、重い体を支えるだけでなく、足音をやわらげる役割も果たしています。また、足の裏は細かいひび割れ状になっており、滑りにくく、ぬかるんだ地面でもしっかり歩くことができます。
前足には5個、後ろ足には4個のひづめがあり、ツメは毎日少しずつ伸びるため、動物園では飼育員が定期的に手入れをしています。
足の裏で振動を感じる

アジアゾウは耳だけでなく、足の裏でも地面の振動を感じ取ることができます。
仲間が出す低周波の鳴き声や足音による振動は、地面を伝わって足の裏から骨へ届き、耳へ伝えられると考えられています。
この能力によって、数km離れた場所にいる仲間と連絡を取り合ったり、遠くで降る雷や雨の気配を感じ取ったりすることができます。
一生で6回生えかわる歯
アジアゾウの臼歯は、一生の間に6回生えかわります。
上下左右に1本ずつ、合計4本の臼歯を使って植物をすりつぶして食べています。歯がすり減ると、奥から新しい歯が前へ押し出されるように生えてきて、古い歯と入れ替わります。
野生では最後の歯まで使い切ると食べ物を十分にかめなくなり、それが寿命に関係することもあります。
泳ぎが得意!
アジアゾウは体が大きいため泳げないと思われがちですが、実はとても泳ぎが得意です。
深い川や湖では長い鼻をシュノーケルのように水面へ出して呼吸しながら泳ぎます。数km離れた島まで泳いだ記録もあり、水辺を渡って新しい生活場所へ移動することもあります。
長い鼻は食べ物を取るだけでなく、水の中でも大活躍する万能な器官です。
アジアゾウの生態
何を食べるの?

アジアゾウは草食動物です。
草や木の葉、樹皮、果実、竹など、さまざまな植物を食べます。大きな体を維持するために、1日に約150〜200kgもの植物を食べ、水も100〜200Lほど飲みます。
食事には一日の半分以上の時間を費やし、長い鼻を器用に使って草を束ねたり、高い場所の葉を取ったりしています。もちろん、食べる量が多いため、排せつする量も一日に100kg近くになります。
家族を大切にする

アジアゾウは、最年長のメスをリーダーとした10〜20頭ほどの群れで生活しています。
群れには母親や姉妹、その子どもたちが集まり、子ゾウは母親だけでなく群れのみんなで協力して育てられます。危険が近づくと、大人たちが子どもを真ん中に囲み、体を張って守ります。
また、年長のメスは水場やエサ場の場所、安全な移動ルートなどを覚えており、群れを導く重要な役割を担っています。
成長したオスは10〜15歳ごろになると群れを離れ、単独で生活するようになります。繁殖期になるとメスの群れを訪れ、再び群れと関わります。
ゾウは悲しむ動物
アジアゾウはとても知能が高く、仲間との絆を大切にする動物です。
亡くなった仲間の骨に鼻で触れたり、その場で長い時間立ち止まったりする様子が観察されています。また、ケガをした仲間を助けようとする行動も見られます。
こうしたことから、ゾウは仲間を思いやる心を持つ動物だと考えられています。
赤ちゃんが生まれる
繁殖期は地域によって異なりますが、一年を通して繁殖することができます。
妊娠期間は約22か月で、陸上動物の中でも最も長い妊娠期間です。通常は1頭の赤ちゃんを出産し、生まれた赤ちゃんは体重100kg前後もあります。
赤ちゃんは生まれてから数時間で立ち上がり、お母さんのお乳を飲み始めます。群れのメスたちは母親と協力して子育てを行い、おばや姉にあたるメスも子守を手伝います。このような協力によって、子ゾウはさまざまなことを学びながら成長していきます。
アジアゾウの天敵
大人のアジアゾウには、ほとんど天敵はいません。
しかし、生まれたばかりの子ゾウや病気、けがで弱った個体は、トラやワニなどに襲われることがあります。
現在、アジアゾウにとって最も大きな脅威は人間です。森林伐採や農地の拡大によって生息地が減少し、人との生活圏が重なることで農作物への被害や交通事故なども増えています。また、オスの大きなキバを狙った密猟も深刻な問題となっています。
アジアゾウを守るために
現在、野生のアジアゾウは約4万~5万頭まで減少したと考えられています。
各国では国立公園や保護区の整備、森林の保全、密猟の防止など、さまざまな保護活動が進められています。また、人とゾウの生活圏を分けるための「エレファント・コリドー(ゾウの移動経路)」を整備する取り組みも行われています。
アジアゾウがこれからも豊かな自然の中で暮らし続けられるよう、生息地を守り、人と野生動物が共存できる環境を未来へ残していくことが大切です。
まとめ
アジアゾウは、アジア最大の陸上動物です。約15万もの筋肉でできた長い鼻や、一生で6回生えかわる歯、足の裏で地面の振動を感じ取る能力など、巨大な体で生き抜くための優れた特徴を数多く備えています。
また、家族や仲間との絆が強く、高い知能や優れた記憶力を持つことでも知られています。しかし、生息地の減少や密猟などにより、野生では絶滅が心配されています。
動物園でアジアゾウを見かけたら、大きな体だけでなく、器用に動く鼻や家族とのコミュニケーションにもぜひ注目してみてください。きっと新しい発見があるでしょう。