シロナガスクジラ
海の中をゆっくり進む、シロナガスクジラ。その体はあまりにも大きく、現在知られている動物の中で最大です。
体長は30mを超えることもありますが、そんな巨大な体で食べているのは、エビのように小さなオキアミです。大きな口で海水ごと取り込み、そこから食べ物だけを取り出して食べています。
広い海を移動しながら暮らすシロナガスクジラは、どんな体をしていて、どのような毎日を送っているのでしょうか。
シロナガスクジラの基本情報
クジラ偶蹄目(偶蹄目) ナガスクジラ科 シロナガスクジラ属
学名 Balaenoptera musculus
英名 Blue Whale
- 体長 20~34m
- 体重 80~190t
- 分布 北極海を除く世界各地の海
- 生息地 外洋・沿岸の海など
- 食べ物 オキアミなど
- 寿命 約110~120年
シロナガスクジラの分布
シロナガスクジラは、北極海を除く世界各地の海に分布しています。北太平洋や北大西洋、南極海など、さまざまな海域で確認されています。
季節によって暮らす海域を変える個体も多く、夏には食べ物が豊富な海へ移動し、冬には繁殖する海域へ向かいます。ただし、移動の仕方は海域によって異なります。
日本周辺の海でも確認されており、広い海を移動しながら生活していることが分かっています。
【生息地】外洋・沿岸・極地周辺の海など
シロナガスクジラの特徴
体の大きさ
シロナガスクジラは、現在知られている動物の中で最大です。体長は20~34m、体重は80~190tほどになり、特に南半球に暮らす個体は大きくなる傾向があります。
細長く伸びた体は、巨大でありながら海の中を効率よく進める形をしています。これほど大きな体を持つ動物が、海の中では静かに泳いでいるのも興味深いところです。
青みがかった体
シロナガスクジラの体は、青みを帯びた灰色をしています。体には白っぽいまだら模様もあり、海の中では光の加減によって青白く見えることがあります。
水面から見たときと海の中で見たときでは、体の色の印象が違うこともあります。「シロナガス」という名前から真っ白な姿を想像しますが、実際には青みのある体をしています。
大きな口とクジラヒゲ
シロナガスクジラの口の中には歯がなく、代わりに「クジラヒゲ」と呼ばれる板状の器官が並んでいます。これを使って、海水の中から小さな食べ物を取り出します。
大きな口を開けると大量の海水が入り、そのあと海水を外へ押し出します。クジラヒゲがフィルターのような働きをするため、オキアミなどの食べ物が口の中に残ります。
小さな背びれ
巨大な体をしているシロナガスクジラですが、背びれは意外なほど小さく、体の後ろのほうについています。
海面に浮かび上がったときには、小さな三角形の背びれが見えることがあります。大きな体との対比で見ると、その小ささがよく分かります。
大きな尾びれ
シロナガスクジラの尾びれは左右に大きく広がっています。尾びれを上下に動かして、長い体を前へ進めます。
海面近くを泳ぐときには、背中が大きく水面から現れることがあります。最後に尾びれが見えて、ゆっくり海の中へ消えていく姿もシロナガスクジラらしい光景です。
厚い脂肪
シロナガスクジラの体には厚い脂肪がついています。冷たい海の中で体温が逃げるのを抑えるだけでなく、食べ物が少ない時期に備えてエネルギーを蓄える役割もあります。
広い海を長い距離移動するシロナガスクジラにとって、体に蓄えた脂肪は大切なエネルギー源です。巨大な体を維持するためにも欠かせません。
シロナガスクジラの生態
オキアミを食べる
シロナガスクジラが主に食べているのは、オキアミという小さな生き物です。魚を食べることもありますが、食事の中心はオキアミです。
巨大な体からは想像できないほど小さな生き物を、大量に食べて暮らしています。オキアミがたくさん集まる場所を見つけることが、食事をするうえで重要になります。
大量の海水を取り込む
オキアミの群れを見つけると、シロナガスクジラは大きな口を開けて海水ごと飲み込むように取り込みます。そのあと海水を口から押し出し、クジラヒゲでオキアミをこし取ります。
一度に取り込む海水の量は非常に多く、食べ物が豊富な場所では大量のオキアミを食べることができます。巨大な体を支えているのは、こうした効率のよい食べ方なのです。
広い海を移動する
シロナガスクジラは、季節に合わせて広い海を移動します。食べ物が豊富な場所ではしっかり栄養をとり、別の時期には繁殖のために海域を移します。
その移動距離は長くなることがあり、毎年のように広い海を行き来する個体もいます。海の中では目印が少ないため、どのように移動しているのかも興味深いところです。
1頭で行動することが多い
シロナガスクジラは、いつも仲間と大きな群れをつくっているわけではありません。1頭で泳いでいることが多く、2頭ほどで行動する姿も見られます。
ただし、オキアミが大量に集まっている場所では、複数の個体が同じ海域に集まることがあります。広い海をそれぞれ移動しながら、食べ物が豊富な場所で出会うこともあるのです。
赤ちゃんが生まれる
シロナガスクジラの妊娠期間は約10~12か月で、通常は1回に1頭の赤ちゃんを産みます。生まれたばかりでも体長は7~8mほどあり、すでに人間から見ると巨大な大きさです。
赤ちゃんは母親のそばを泳ぎながら母乳を飲み、どんどん体を大きくしていきます。生まれたときから大きな体を持つのは、シロナガスクジラならではの特徴です。
子どもが育つ
赤ちゃんは母親のそばで泳ぎながら、海で暮らすための体を少しずつつくっていきます。母乳をたっぷり飲んで成長し、やがて自分でオキアミを食べるようになります。
授乳が終わるころには、赤ちゃんはかなり大きくなっています。それでもまだ成長の途中で、長い時間をかけて大人のシロナガスクジラへ近づいていきます。
シロナガスクジラの天敵
大人のシロナガスクジラは非常に大きいため、自然界で襲われることは多くありません。しかし、シャチがシロナガスクジラを攻撃することが確認されています。
特に若い個体は大人より体が小さいため、攻撃の対象になることがあります。海の王者のように見えるシロナガスクジラにも、危険がないわけではありません。
シロナガスクジラを守るために
シロナガスクジラは、かつて商業捕鯨によって数を大きく減らしました。現在では捕鯨による直接的な影響は小さくなりましたが、船との衝突や漁具への絡まりなどが問題になっています。
さらに、海の環境が変化すると、主な食べ物であるオキアミにも影響する可能性があります。シロナガスクジラを守るには、クジラそのものだけでなく、オキアミが暮らす海の環境も大切です。
広い海を自由に移動するシロナガスクジラにとって、海全体の環境を守ることが将来の暮らしにもつながります。
まとめ
シロナガスクジラは、体長30mを超えることもある、現在知られている最大の動物です。そんな巨大な体で主に食べているのは、小さなオキアミという意外な生き物です。
大きな口で海水ごとオキアミを取り込み、クジラヒゲを使って食べ物だけを集めながら、広い海を移動して暮らしています。赤ちゃんも生まれたときから大きな体をしていますが、母親のそばで成長しながら少しずつ海での生活に慣れていきます。
「世界最大」という大きさだけでなく、小さなオキアミを食べながら広い海を旅する暮らしにも、シロナガスクジラの大きな魅力があります。