ブラッザグエノン

サル目(霊長目) オナガザル科 オナガザル属
学名 Cercopithecus neglectus
英名 De Brazza’s guenon
- 体長 40~60cm
- 尻尾 53~85cm
- 体重 4~8kg
- 分布 エチオピア、南スーダン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国など
- 生息地 湿地や川辺近くの森林
- 食べ物 果実、木の実、種子、花、昆虫、小動物
ブラッザグエノンは、アフリカの森林にくらすオナガザルのなかまです。
白いあごひげとオレンジ色の頭の模様が特徴で、「世界でもっとも美しいサルのひとつ」ともいわれています。
名前の「ブラッザ」は、19世紀にアフリカを探検したイタリアの探検家、ピエール・サボルニアン・ド・ブラッザに由来しています。
ブラッザグエノンの分布

ブラッザグエノンは、エチオピア、南スーダン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、ガボン、カメルーンなど、アフリカ中央部に広く分布しています。
【生息地】湿地や川辺近くの森林
水辺のある森林を好み、川や沼の近くで生活しています。
現在は絶滅の危険性は高くありませんが、森林伐採や狩猟によって生息数は少しずつ減少しています。
ブラッザグエノンの特徴
体の大きさ
ブラッザグエノンは、中型のオナガザルです。
体長は40〜60cm、長いしっぽは53〜85cmもあり、体より長くなります。体重は4〜8kgほどで、オスのほうがメスより少し大きくなります。
長いしっぽは木の上でバランスをとるのに役立っていますが、サルのように枝へ巻き付けることはできません。
黄門ザルと呼ばれる理由

ブラッザグエノンは、鼻の下からのどにかけて白く長いあごひげが生えています。
さらに、頭にはオレンジ色の三日月形の毛があり、まるで頭巾をかぶっているように見えます。
この姿が、時代劇でおなじみの水戸黄門に似ていることから、日本では「黄門ザル」と呼ばれることがあります。
この白いあごひげや頭の模様は、オスだけでなくメスにも見られるブラッザグエノンの大きな特徴です。
赤ちゃんは金色

生まれたばかりの赤ちゃんは、親とはまったく違い、全身が明るい金色の毛でおおわれています。成長するにつれて少しずつ毛の色が変わり、生後数か月ほどで大人と同じ美しい毛色になっていきます。
赤ちゃんの金色の毛は、母親が群れの中で見つけやすくするためではないかとも考えられています。
鼻の穴は下を向いている

ブラッザグエノンは、オナガザル科に分類される「旧世界ザル(きゅうせかいザル)」のなかまです。旧世界ザルは、鼻の穴の間がせまく、下向きについているのが特徴です。
同じなかまには、ニホンザルやマンドリル、ダイアナモンキーなどがいます。
一方、クモザルやリスザルなどの新世界ザルは、鼻の穴が左右に開いています。
平づめで器用につかむ

ブラッザグエノンの手足の指には、人間と同じような平らな「平づめ」があります。
親指がほかの指と向かい合っているので、木の枝をしっかりつかんだり、小さな木の実や昆虫を器用につまんだりできます。
木の上で生活するサルにとって、とても大切な特徴です。
ほおぶくろに食べ物をためる

ブラッザグエノンには、ほおの内側に「ほおぶくろ」があります。見つけた食べ物をほおぶくろにすばやく入れて安全な場所まで運び、あとでゆっくり食べることができます。
ほかの動物に食べ物を横取りされにくくなり、外敵に襲われる危険も減らせます。木の実や果実、種子などをたくさん運べるため、森でくらすブラッザグエノンにとって便利なしくみです。
ブラッザグエノンの生態
何を食べるの?

ブラッザグエノンは雑食性で、果実を中心にさまざまなものを食べます。そのほかにも、木の実や種子、若葉、花、昆虫、小さなカエルやトカゲなどの小動物も食べます。
食べ物を見つけると、まずほおぶくろに入れて安全な場所まで運び、落ち着いてからゆっくり食べることもあります。
水辺の森林でくらす
ブラッザグエノンは昼行性で、朝から夕方にかけて活動します。
湿地や川辺の森林を好み、木の上と地上の両方で生活しています。木登りは得意ですが、地上を歩いて移動することも多く、森の中では静かに行動するため、見つけるのは簡単ではありません。
小さな群れで生活する
ブラッザグエノンは、一頭のオスと数頭のメス、その子どもたちからなる3〜6頭ほどの群れで生活します。
群れの大きさはふつう小規模ですが、ときには30頭以上の群れが確認されることもあります。
仲間どうしは鳴き声や表情、しっぽの動きなどを使ってコミュニケーションをとりながら生活しています。
泳ぐのが得意

ブラッザグエノンは、水辺の近くで生活する珍しいサルです。危険がせまると川や沼へ逃げ込み、泳いで反対岸へ渡ることがあります。
このことから、英語では「Swamp Monkey(スワンプモンキー)」と呼ばれることもあります。
水辺の森林で暮らすブラッザグエノンならではの特徴です。
赤ちゃんが生まれる
繁殖期は2~3月ごろです。妊娠期間は約5~6か月で、1回に1~2頭の赤ちゃんを出産します。
生まれたばかりの赤ちゃんは金色の毛でおおわれていますが、成長するにつれて少しずつ大人と同じ毛色へ変わっていきます。
授乳期間は約1年で、その間は母親が子育てをします。
性成熟はオス・メスともに5~6歳です。メスは群れに残ることが多く、オスは成長すると群れを離れ、新しい群れへ移ります。
ブラッザグエノンの天敵
ブラッザグエノンの天敵は、ヒョウやチンパンジー、大型のヘビ、ワシなどです。
危険を感じると木の上へ逃げたり、地上をすばやく走って水辺へ逃げ込んだりします。体を目立たせない落ち着いた毛色も、外敵から身を守るのに役立っています。
ブラッザグエノンの寿命
野生での寿命は約22年、動物園では30年ほど生きることがあります。
安全な環境では、野生より長生きすることもあります。
ブラッザグエノンを守るために
現在、ブラッザグエノンは絶滅の危険性は高くありませんが、森林伐採や農地開発によって生息地が少しずつ減っています。
また、一部の地域では食用として狩猟されることもあり、生息数はゆるやかに減少しています。
ブラッザグエノンがこれからも豊かな森で暮らし続けられるよう、生息地を守り、野生動物を大切にすることが重要です。
まとめ
ブラッザグエノンは、美しい毛色と白いあごひげが特徴のオナガザルのなかまです。
長いしっぽでバランスを取りながら木の上を移動し、ほおぶくろを使って食べ物を運ぶなど、森林で暮らすためのさまざまな特徴を持っています。
また、水辺の森林を好み、泳ぐことができる珍しいサルとしても知られています。
これからもブラッザグエノンが豊かな森で暮らし続けられるよう、生息地を守り、野生動物を保護することが大切です。