ツチブタ
長い鼻に大きな耳、太いしっぽを持つツチブタ。名前に「ブタ」と入っていますが、ブタの仲間ではありません。実は、現在生きている動物の中で、ツチブタ目に属する唯一の動物です。
夜になると巣穴から出て、長い鼻でにおいを探りながらアリやシロアリを探します。強い爪で地面を掘る力もすごく、食べ物を探すときだけでなく、危険から逃げるときにもその力を使います。
ツチブタの基本情報
ツチブタ目(管歯目) ツチブタ科 ツチブタ属
学名 Orycteropus afer
英名 Aardvark
- 体長 1~1.6m
- 体重 40~82kg
- 分布 サハラ砂漠より南のアフリカ
- 生息地 サバンナ・草原・森林など
- 食べ物 アリ・シロアリ
- 寿命 野生で最長約18年
ツチブタは見た目こそブタに少し似ていますが、分類上はまったく別の動物です。現在生きているツチブタは1種だけで、独立した「管歯目」に分類されています。
ツチブタの分布
ツチブタは、サハラ砂漠より南に広がるアフリカの広い地域に分布しています。サバンナや草原、乾燥した地域など、アリやシロアリが多く、地面を掘ることのできる場所を選んで暮らします。
岩が多くて掘りにくい場所や、水がたまりやすい場所ではあまり見られません。食べ物だけでなく、巣穴を作れる土があることも大切なのです。
【生息地】サバンナ・草原・森林・低木地など
ツチブタの特徴
体の大きさ
ツチブタは体長1~1.6m、体重40~82kgほどになります。体に比べて頭が大きく、鼻先からしっぽまで見ると、独特な体つきをしています。
太い足を持っていますが、見た目から想像するよりも動きはしっかりしています。特に地面を掘るときには、強い前足が大活躍します。
長い鼻でにおいを探す
ツチブタの顔で最も目立つのが、細長く伸びた鼻です。この鼻は見た目が特徴的なだけではなく、食べ物を探すためにも重要です。
ツチブタは夜の暗い場所で、鼻を使ってアリやシロアリのいる場所を探します。目だけに頼らず、においを手がかりにして食べ物を見つけます。
耳がとても大きい
ツチブタには、ウサギのように大きく立った耳があります。夜に活動するため、周囲の音を聞き取ることも大切です。
危険が近づいていないかを確かめながら行動し、少しでも危険を感じるとすぐに逃げられるようにしています。大きな耳も、夜の生活に役立つ特徴の一つです。
爪がシャベルのように働く
ツチブタの前足には4本、後ろ足には5本の指があり、それぞれに強い爪があります。この爪を使うと、硬い地面でも力強く掘ることができます。
この爪は、アリやシロアリの巣を掘るだけでなく、自分の巣穴を作ったり、危険が迫ったときに地面へ逃げ込んだりするときにも役立ちます
歯がとても変わっている
ツチブタの歯は、ほかの哺乳類とはかなり違っています。前歯や犬歯がなく、奥歯には細い管が集まったような独特の構造があります。
この珍しい歯のつくりが、「管歯目」という分類名の由来になっています。アリやシロアリを主食とする生活に合わせて、歯も独特な進化を遂げたのです。
ツチブタの生態
夜になると巣穴から出てくる
ツチブタは主に夜に活動します。昼間は巣穴の中で休み、日が沈むころになると外へ出て、食べ物を探し始めます。
夜の間に数km移動しながら、アリやシロアリのいる場所を探します。人の目に触れる機会が少ないのも、ツチブタの暮らし方に関係しています。
アリやシロアリを食べる
ツチブタの主な食べ物はアリとシロアリです。巣を見つけると、強い爪で外側を掘り、そこから長い舌を伸ばして昆虫を食べます。
舌には粘り気があり、小さなアリやシロアリをからめ取ることができます。硬い巣を壊す力と、長い舌を組み合わせて食事をするのです。
巣穴を作って暮らす
ツチブタは自分で地面を掘って巣穴を作ります。短期間だけ使う浅い穴もあれば、複数の入り口を持つ大きな巣穴を作ることもあります。
巣穴は昼間に休む場所になるだけでなく、暑さや危険から身を守る場所にもなります。使われなくなった巣穴が、ほかの動物のすみかとして利用されることもあります。
赤ちゃんが生まれる
ツチブタは基本的に1頭の赤ちゃんを産みます。妊娠期間は約7か月で、赤ちゃんは母親が掘った巣穴の中で生まれます。
生まれた赤ちゃんは巣穴の中で過ごし、生後約2週間になると母親について外へ出るようになります。
子どもが成長する
赤ちゃんは母親から授乳を受けながら成長し、生後3か月ほどになると少しずつ昆虫も食べるようになります。さらに成長すると、自分で食べ物を探したり、穴を掘ったりする力を身につけていきます。
生後6か月ほどになると母親から離れて、自分で暮らせるようになります。小さな赤ちゃんも、やがて大人と同じように夜のアフリカを歩き回るようになるのです。
ツチブタの天敵
ツチブタはライオンやヒョウ、ハイエナなどに襲われることがあります。幼い個体は特に危険が多く、母親と一緒に行動することが大切です。
危険を感じたときには、強い爪を使って地面を掘り、巣穴へ逃げ込むことがあります。自慢の掘る力は、食事だけでなく身を守るためにも役立っています。
ツチブタを守るために
ツチブタは現在、IUCNのレッドリストで「低懸念(LC)」とされており、絶滅危惧種ではありません。広い範囲に分布していますが、農地の拡大による生息地の変化や狩猟などが問題になる地域もあります。
また、アリやシロアリを食べるツチブタにとって、昆虫が暮らせる環境を保つことも大切です。巣穴を作れる土壌や、食べ物が見つかる草原などを守ることが、ツチブタの生活を支えることにつながります。
まとめ
ツチブタは、ブタに似た姿をしていますが、実はほかに同じ仲間がいない、とても珍しい動物です。
長い鼻で食べ物を探し、強い爪で地面を掘り、長い舌でアリやシロアリを食べます。さらに、自分で作った巣穴を休息や子育ての場所として利用します。
夜のアフリカで静かに暮らすツチブタ。その姿を知ると、長い鼻や大きな耳、シャベルのような爪にも、すべて意味があることが分かります。