インドライオン

ネコ目(食肉目) ネコ科 ヒョウ属
絶滅危惧種
学名 Panthera leo persica
英名 Asiatic Lion
- 体長 140~195cm
- 尾長 70~90cm
- 体重 120~200kg
- 分布 インド西部(ギル森林国立公園野生生物保護区とその周辺地域)
- 生息地 森林、草原、低木林
- 食べ物 大型ほ乳類、小動物、昆虫、爬虫類
百獣の王が暮らす森
ライオンといえば、広大なアフリカの草原で暮らす姿を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実はアジアにも野生のライオンが生息しています。
それがインドライオンです。
現在、野生ではインド西部にあるギル森林国立公園とその周辺地域だけに生息している、とても貴重なライオンです。かつては中東からインド北部まで広く分布していましたが、生息地の減少や狩猟によって数が大きく減少しました。
現在は保護活動によって個体数は少しずつ回復していますが、生息地が限られているため、今も絶滅が心配されている希少な動物です。
インドライオンの分布

インドライオンは、インド西部グジャラート州にあるギル森林国立公園野生生物保護区とその周辺地域のみに分布しています。
【生息地】森林、草原、低木林
インドライオンの特徴

体の大きさ
インドライオンはアフリカライオンよりやや小柄ですが、オスでも体重は160~190kgほどになります。森林で暮らす大型の肉食動物としては十分大きく、インドでは森の王者として知られています。
たてがみ

オスのインドライオンには立派な「たてがみ」があります。
しかし、アフリカライオンに比べるとたてがみは短く、耳が外から見えやすいのが特徴です。首や肩までたてがみが大きく伸びることは少なく、顔の輪郭がはっきり分かります。
加齢やホルモン、健康状態によって「たてがみ」は濃い色になることがあります。黒く立派な「たてがみ」を持つオスは健康状態が良いことが多く、メスに選ばれやすいと考えられています。
暑い森林で暮らす環境に適応した結果、「たてがみ」が短くなったと考えられています。
「たてがみ」は敵への威嚇もありますが、戦いの中で急所である首を噛まれないように守る役目もあります。赤ちゃんには「たてがみ」がありません。1歳から生えはじめ3~5歳で立派な「たてがみ」になっていきます。
お腹の皮ふ

インドライオンのお腹には、胸から後ろ足にかけてひだ状の皮ふがあります。
このひだはアフリカライオンにはほとんど見られず、インドライオンを見分ける大きなポイントです。歩いたり走ったりすると、お腹の皮ふがゆれる様子を見ることができます。
鋭い犬歯と強いあご
ライオンには約30本の歯があります。
特に犬歯は約7~8cmにもなり、大型の獲物を仕留めるための大切な武器です。さらに強いあごを持っているため、シカやイノシシなどの肉を引き裂いたり、硬い骨の周りの肉まで食べることができます。
しっぽの先の房毛
しっぽの先には黒い房毛があります。
この房毛は、虫を追い払ったり、群れの仲間に合図を送ったりするときに役立っていると考えられています。歩くときや走るときには、しっぽを左右に動かして気持ちを表すこともあります。
インドライオンの生態
何を食べるの?

インドライオンは肉食動物です。水場では、まれにワニを襲うこともありますが、主な獲物はシカやイノシシなどの哺乳類です。
獲物が少ない地域では家畜を襲うこともあります。水分は獲物の肉からも補給できますが、水場へ行って水を飲むことも大切です。
狩りをする
狩りは主に夕方から夜、早朝に行います。草むらや低木に身を隠し、獲物との距離を少しずつ縮めて、一気に飛びかかります。首や鼻にかみついて呼吸を止め、仕留めます。
アフリカライオンのような大きな群れで狩りをすることは少なく、少ない頭数で協力して狩りを行います。成功率は毎回高いわけではなく、何度も失敗することもあります。
木で爪をとぐ

ライオンは木で爪をとぎます。古い爪をはがして鋭さを保つだけでなく、木ににおいや爪あとを残し、自分の縄張りを知らせる役割もあります。
普段は爪を足の中にしまっていますが、狩りや木に登るときには鋭い爪を出します。
大きな声でほえる

ライオンは「うなり声」や「うなずき声」など、さまざまな鳴き声を使い分けています。
その中でも「咆哮(ほうこう)」と呼ばれる大きな鳴き声は、縄張りを主張したり、群れの仲間と連絡を取ったりするときに使われます。
その声は約9km先まで届くともいわれています。
小さな群れで暮らす

ライオンには「プライド」と呼ばれる群れがあります。
アフリカライオンは10~20頭ほどの大きな群れを作りますが、インドライオンは森林で暮らすため、メスと子どもを中心とした4~6頭ほどの小さな群れで生活しています。
オスはメスや子どもとは少し離れて生活することが多く、エサを食べるときなどに群れへ合流します。
赤ちゃんが生まれる
特定の繁殖期はなく、一年を通して繁殖します。妊娠期間は約110日で、1回に2~3頭の赤ちゃんを出産します。
妊娠したメスは群れを離れ、安全な茂みの中で子どもを産みます。生後6~8週間ほどは母親だけで子育てを行い、その後群れへ戻ります。

群れでは近い時期に出産したメスどうしが協力して授乳や子育てを行います。赤ちゃんは首の後ろを母親にくわえられて運ばれ、遊びを通して狩りの練習を覚えます。
オスは親離れする
オスは3歳ごろになると、生まれ育った群れを離れます。その後は単独で生活したり、兄弟や若いオスどうしでグループを作ったりしながら放浪します。
6~7歳になると他の群れのリーダーに戦いを挑み、勝てば新しい群れのリーダーになります。しかし、リーダーでいられる期間は2~3年ほどと短く、若いオスとの縄張り争いに敗れると群れを去ります。
新しいリーダーになると
オスは6~7歳の成獣になると、他の群れのリーダーに戦いを挑みます。
群れのリーダーをかけた壮絶な縄張り争いに勝てば、新しいリーダーとなり、自分の子孫を残すことができます。負けたリーダーは殺されることもありますが、多くは群れを離れて静かに暮らします。新しいリーダーも2~3年ほどで若いオスに世代交代するといわれています。
アフリカライオンでは、新しいリーダーになると前のリーダーの子どもを殺してしまう「子殺し」が見られることがあります。これはメスを早く発情させ、自分の子どもを残すためと考えられています。
しかし、インドライオンのメスは群れのオスと交尾した後、複数のオスとも交尾をします。父親を特定しにくくすることで、子殺しを防ぐ行動だと考えられています。
インドライオンを守るために
インドライオンは、野生ではインドのギル森林周辺だけに生息しています。
個体数は保護活動によって増えてきましたが、生息地が限られているため、病気や自然災害が起こると大きな影響を受ける心配があります。これからも生息地を守り、この貴重なライオンを未来へ残していくことが大切です。
まとめ
インドライオンは、世界で唯一アジアに暮らすライオンです。アフリカライオンより体はやや小さく、耳が見える短いたてがみや、お腹のひだ状の皮ふが特徴です。
野生ではインドのギル森林周辺だけに生息する、とても貴重な動物です。これからも豊かな自然を守り、インドライオンが安心して暮らせる環境を未来へ残していきたいですね。