ラクダのなかま
アンデス高原の青い空の下で、ふわふわの毛に包まれたアルパカが草を食べています。首を伸ばしてのんびり歩く姿は、とてもおだやかに見えます。
でも、アルパカには意外な一面もあります。高い山で暮らしてきた体は寒さに強く、その一方で暑さは苦手です。さらに、危険を感じると胃の内容物を吐き出して相手にかけることもあります。
かわいいだけではない、アルパカの暮らしを見てみましょう。
アルパカ
クジラ偶蹄目(偶蹄目) ラクダ科
学名 Vicugna pacos
英名 Alpaca
- 体長 120~225cm
- 体重 50~65kg
- 分布 南アメリカのアンデス高原
- 生息地 高山の草原など
- 食べ物 草・葉・樹皮など
- 寿命 飼育下で約20年
アルパカの分布
アルパカは南アメリカのアンデス高原を原産とする家畜です。現在はペルーやボリビアなどを中心に飼育されています。
標高の高い地域で暮らしてきたため、空気が薄く、気温の低い環境にも適しています。人間によって長い年月をかけて飼育され、現在のアルパカになりました。
【生息地】アンデス高原の草原・山間部など
アルパカの特徴
体の大きさ
アルパカの体長は120~225cm、体重は50~65kgほどです。細長い首とすらりとした脚を持ち、胴体は丸みがあります。立ち上がると首が高く伸び、全体的にすらりとした体つきに見えます。
頭は小さめで、耳は細長く立っています。脚は細く見えますが、山地を歩くための丈夫なつくりをしており、足先には2本の指があります。
また、体全体を豊かな毛が覆っているため、首や胴体にはふくらみがあります。特に首の毛は長く伸びやすく、アルパカらしい特徴的な姿をつくっています。
ふわふわの毛
アルパカといえば、体を包む豊かな毛が大きな特徴です。毛はとても細く柔らかく、寒さの厳しいアンデス高原で体温を保つのに役立ちます。
この毛は人間にも利用されてきました。衣類などに使われる上質な毛を取るために改良されてきたため、毛が伸び続けるようになっています。
毛の色はいろいろ
アルパカの毛は白だけではありません。茶色や黒、灰色など、さまざまな色があります。釧路市動物園では、毛色は約22色あると紹介されています。
日本では白や茶色のアルパカを見かけることが多いですが、毛色の違いを見比べてみると、それぞれ顔つきまで違って見えてきます。
寒さに強い
アルパカは標高の高い寒い地域で飼育されてきたため、寒さに強い動物です。密に生えた毛が体を包み、冷たい風から身を守ります。
反対に暑さは苦手です。日本の動物園では、暑い季節を快適に過ごせるよう、夏が来る前に毛刈りを行っています。
上の前歯がない
アルパカの口には、ちょっと変わった特徴があります。上あごの前の部分には、草をかみ切るための普通の前歯がありません。
その代わり、硬くなった歯ぐきのような部分と下の前歯を使って草をかみ取ります。見た目では分からない、アルパカのおもしろい体のつくりです。
アルパカの生態
群れで草を食べる
アルパカは仲間と群れで暮らし、草原を歩きながら草などを食べます。食べ物を探して長い距離を走り回るよりも、草を少しずつ食べながらゆっくり移動します。
群れで生活することで、仲間の存在を感じながら安心して過ごすことができます。アルパカは単独よりも仲間と一緒にいることを好む動物です。
食べ物をゆっくり消化する
アルパカは草を主な食べ物とする草食動物です。少ない草でも効率よく利用できるよう、ラクダのなかまらしい消化の仕組みを持っています。
食べたものを何度も口に戻してかみ直す「反すう」も行います。草を食べては休み、またかみ直すことを繰り返しながら、栄養を取り出しています。
危険を感じると吐くことがある
アルパカには、「つばを吐く」といわれる行動があります。しかし、実際には普通のつばを吐いているわけではありません。
怒ったり強いストレスを感じたりすると、胃の内容物を吐き出して相手にかけることがあります。アルパカ同士が食べ物をめぐって争うときなどにも見られる行動です。
赤ちゃんが生まれる
アルパカは通常、1回の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。妊娠期間は長く、約11か月にもなります。生まれた赤ちゃんは「クリア」と呼ばれます。
生まれたばかりのクリアは体重約7kgほどですが、その後はぐんぐん成長します。母親から乳をもらいながら体を大きくしていきます。
子どもが育つ
クリアは生まれてからしばらく母親のそばで過ごし、草を食べるようになるにつれて少しずつ成長していきます。
離乳するのは生後6か月ほどで、その後も体は大きくなり続けます。1歳になるころには、かなり大きな体つきになっています。
アルパカの天敵
アルパカは家畜として飼育されているため、野生動物とは少し事情が違います。放牧されている場所では、ピューマなどの肉食動物がアルパカを襲うことがあります。
そのため、群れで行動したり、人間が見守ったりすることが身を守るうえで大切です。危険を感じると、アルパカは逃げることで身を守ります。
アルパカを守るために
アルパカは絶滅危惧種ではなく、現在も南米を中心に多く飼育されています。ただし、アルパカの暮らしを知ることは、アンデス高原の自然や、そこで暮らす人々との関わりを知ることにもつながります。
アルパカは長い歴史の中で人間と関わりながら暮らしてきた動物です。動物園などで出会ったときには、かわいらしい姿だけでなく、その体や暮らしにも注目してみましょう。
まとめ
アルパカは、ふわふわの毛が魅力的なだけではありません。寒い高地に適した体を持ち、仲間と群れで草を食べながら暮らしています。
毛の色が豊富だったり、上の前歯がなかったり、危険を感じると胃の内容物を吐き出したりと、知れば知るほどおもしろい特徴があります。かわいい姿の奥には、アンデス高原で生きてきたアルパカの工夫が詰まっています。