オカピ

クジラ偶蹄目 キリン科 オカピ属
絶滅危惧種
学名 Okapia johnstoni
英名 Okapi
- 体長 190~250cm
- 体重 200~350kg
- 分布 コンゴ民主共和国
- 生息地 熱帯雨林
- 寿命 20~30年
- 食べ物 木の葉・若葉・芽・果実・キノコ
幻の動物『オカピ』

オカピは長い間、現地の人しか知らない「伝説の動物」でした。1901年、イギリスの探検家ハリー・ジョンストン卿によって世界で正式に紹介されたことから、「20世紀最後の発見」とも呼ばれました。その不思議な姿からジャイアントパンダ、コビトカバと並ぶ『世界三大珍獣』と呼ばれるようになりました。
現在では動物園でも見られますが、野生では限られた地域にしか生息していない、とても貴重な動物です。
オカピの分布

オカピは、アフリカのコンゴ民主共和国北東部に広がる熱帯雨林だけに生息しています。特に標高500~1,500メートルほどの湿度が高い森林を好み、人目につきにくい深い森の中で生活しています。
世界中を探しても、野生のオカピが暮らしているのはこの地域だけです。そのため、生息地が非常に限られた貴重な動物となっています。
【生息地】熱帯雨林
個体数は、5,000~10,000頭ほど。
オカピの特徴

キリンの仲間

オカピはシカやシマウマのような見た目をしていますが、実はキリン科の動物です。現在、キリン科に分類されている動物はキリンとオカピだけです。
首の骨(頚椎)は人と同じ7個ありますが、それぞれの骨が長いキリンとは違い、オカピは森林の中を歩きやすいように首が短く進化しました。
また、オスには皮ふと毛でおおわれた短い角(オシコーン)があります。これはキリンの角と同じつくりをしています。
体の大きさ
オカピは体長約190〜250cm、体高150〜170cm、体重200〜350kgになります。メスの方がオスより少し大きくなることが多く、キリン科では小柄な体をしています。
長い足と丈夫なひづめを持ち、ぬかるんだ地面や木が生い茂る熱帯雨林でも静かに歩くことができます。
また、体は筋肉質で力強く、急な坂道や倒れた木の間も器用に移動します。森林で暮らすことに適した体つきは、広い草原で暮らすキリンとは大きく異なります。
シマ模様

オカピのお尻や足にある白と黒のしま模様は、熱帯雨林へ差し込む木漏れ日に溶け込むための保護色です。
森の中では光と影が入り混じるため、しま模様によって体の輪郭が見えにくくなり、ヒョウなどの天敵から身を守るのに役立っています。
また、しま模様は一頭ずつ異なり、人間の指紋のように個体を見分ける目印として研究にも利用されています。さらに、生まれたばかりの赤ちゃんが母親のあとを歩くときの目印にもなっていると考えられています。
長い舌

オカピの舌は約30〜35cmもあります。舌の色は青紫色で、キリンの舌によく似ています。
長い舌を使って木の葉や若い枝を器用に巻き取り、口へ運んで食べます。また、とげのある植物でも舌を上手に使うことで傷つかずに葉を食べることができます。
さらに、長い舌を使って目や耳の汚れをなめて落とすこともできます。これは体を清潔に保つための大切な役割です。長い舌は食事だけでなく、体のお手入れにも役立っています。
オスだけ角がある

オカピのオスには、頭の上に短い角があります。この角はキリンと同じように「オシコーン」と呼ばれ、骨のまわりを皮ふと毛がおおっています。
オシコーンは長さが10〜15cmほどで、成長すると先端の毛がすり減り、骨が見えることがあります。一方、メスには角はなく、小さなこぶ状の突起が見られるだけです。
オスは縄張り争いや繁殖期の競争で頭を押し合うことがあり、オシコーンはそのときに役立つと考えられています。
大きな耳
オカピの耳は大きく、自由な方向へ動かすことができます。
熱帯雨林は木々が生い茂っていて遠くまで見通せないため、耳で音を聞き分けることがとても重要です。ヒョウなどの天敵が近づく物音をすばやく聞き取り、危険を察知して森の奥へ逃げることができます。
また、仲間の鳴き声や物音を聞き分けながら生活しており、大きな耳は森林で生きるために欠かせない特徴の一つです。
足には2本のひづめ
オカピの足には2本のひづめがあります。ウシやシカと同じ偶蹄目(ぐうていもく)の仲間であるためです。
細長い足は森林の中を静かに歩くのに適しており、柔らかい地面やぬかるみでも安定して歩くことができます。
また、お尻から足にかけてある白と黒のしま模様は、木漏れ日の中では体の輪郭を見えにくくする効果があります。そのため、オカピは音を立てずに森の中を移動し、天敵から身を守っています。
オカピの生態
何を食べる?

オカピは木の葉や若葉、芽、果実、シダ類、キノコなどを食べる草食動物です。特に柔らかい若葉を好み、長い舌を器用に使って枝を引き寄せながら葉を口へ運びます。
また、植物だけでなく、粘土や炭をなめて不足しがちなミネラルを補うこともあります。熱帯雨林には塩分が少ないため、健康を保つために必要な栄養を自然の中から補っています。
体が大きいため、1日の多くの時間を食事に費やし、森の中を歩きながら少しずつ葉を食べ続けています。
反すう動物

オカピは4つの胃を持つ反すう動物です。
一度飲み込んだ食べ物を口へ戻し、もう一度よくかんでから飲み込むことで、かたい植物の繊維を効率よく消化しています。このような食べ方を「反すう」といいます。
キリンやウシと同じ仲間であるため、消化の仕組みもよく似ています。栄養の少ない木の葉からもしっかり栄養を取り出せるように進化しました。
鳴き声で会話する
オカピは鳴かない動物だと考えられていましたが、アメリカでの調査の結果、オカピ同士で低周波音をつかってコミュニケーションをとっている事が分かりました。
単独で生活する

オカピは群れを作らず、1頭で生活することがほとんどです。
オスもメスもそれぞれ自分の行動範囲を持ち、繁殖期以外は単独で森の中を歩き回ります。広い熱帯雨林では、お互いの姿が見えなくても、においや足跡を手がかりに存在を確認しています。
また、視界の悪い森林では大きな耳を使って周囲の音を聞き分け、危険が近づくと静かに森の奥へ逃げ込みます。人前に姿を現すことが少ないため、「森の幻」と呼ばれることもあります。
赤ちゃんが生まれる
繁殖期は特に決まっていません。
妊娠期間は約14〜15か月で、通常は1頭の赤ちゃんを出産します。
生まれたばかりの赤ちゃんは、天敵に見つからないよう草むらや茂みの中でじっと過ごします。母親は授乳のときだけ赤ちゃんのもとへ戻り、それ以外の時間は少し離れた場所で行動することが多く、においが広がらないよう工夫しています。
数週間すると少しずつ母親と一緒に歩くようになり、長い時間をかけて木の葉の食べ方や森で生きるための行動を学んでいきます。
オカピの天敵
野生のオカピの主な天敵はヒョウです。ヒョウは木登りが得意で、森林で生活するオカピにとって最も危険な捕食者です。
また、人間による密猟や森林伐採もオカピにとって大きな脅威となっています。道路開発や鉱山開発によって森林が失われ、生息地が年々減少しています。
オカピを守るために
オカピは、アフリカのコンゴ民主共和国にある熱帯雨林だけに生息しています。しかし、森林伐採や鉱山開発による生息地の減少、密猟などによって個体数は減り続けています。
現在は、国立公園での保護活動や密猟の取り締まり、生息地の森林を守る活動が行われています。また、世界中の動物園でも繁殖や研究が進められ、オカピを未来へ残すための取り組みが続けられています。
まとめ
オカピは、シマウマのようなしま模様を持ちながら、実はキリンの仲間という不思議な動物です。長い舌や皮ふでおおわれた角など、森林で暮らすためのさまざまな特徴を持っています。
長い間その存在がほとんど知られておらず、「世界三大珍獣」の一つとして知られるオカピですが、現在は絶滅が心配されています。これからも豊かな森を守り、オカピが安心して暮らせる環境を未来へ残していくことが大切です。