キツネザルのなかま
マダガスカルの森を歩くワオキツネザルは、白と黒の輪が並んだ長いしっぽが目を引く動物です。木の上だけでなく地面もよく歩き、仲間とまとまって暮らしています。
しっぽの模様だけを見るとかわいらしい動物ですが、実は仲間同士の関係や、厳しい環境を生き抜くためのさまざまな工夫があります。ワオキツネザルは、どんな生活をしているのでしょうか。
ワオキツネザル
サル目(霊長目) キツネザル科 ワオキツネザル属
絶滅危惧種
学名 Lemur catta
英名 Ring-tailed Lemur
- 体長 39~46cm
- 尾長 56~63cm
- 体重 2~3.5kg
- 分布 マダガスカル南部・南西部
- 生息地 乾燥林・低木林・岩場など
- 食べ物 果実・葉・花・樹皮・昆虫など
- 寿命 野生で約16年
ワオキツネザルの分布
ワオキツネザルは、アフリカ大陸の東にあるマダガスカルにだけ生息しています。特に南部から南西部にかけて分布し、雨の少ない乾燥した地域にも適応しています。
森林の木々を利用する一方、地面に降りて活動する時間も長いのが特徴です。木が密集した森だけでなく、低木が広がる場所や岩の多い場所でも暮らしています。
【生息地】乾燥林・低木林・岩場・サバンナなど
ワオキツネザルの特徴
体の大きさ
ワオキツネザルは、体長よりも長いしっぽを持っています。体はネコほどの大きさで、全身を灰色の毛が覆い、顔やおなか、手足の一部は白っぽい色をしています。
そして何より目立つのが、白と黒の輪が交互に並んだしっぽです。この美しい模様が「輪尾」という名前の由来になっています。
長いしっぽ
ワオキツネザルのしっぽは、体よりも長く伸びています。枝の上を移動するときにはバランスを取るのに役立ち、地面を歩くときにも体の動きを助けます。
また、群れで移動するときには、しっぽを高く上げて歩くことがあります。離れた場所にいる仲間からも見えやすく、群れで移動するときの目印になります。
大きな目と鼻
ワオキツネザルの顔には、大きな目と黒っぽい鼻があります。周囲を見渡しながら、木の上や地面を移動します。
鼻も重要な感覚器官です。ワオキツネザルは目だけではなく、においも利用して周囲の情報を集めています。
耳を自由に動かせる
ワオキツネザルの耳は小さめですが、左右の耳を動かして周囲の音を聞き取ることができます。森の中では、姿が見えない仲間の声や、近づいてくる物音を聞くことも大切です。
視界の外から聞こえる音にも注意を向けながら、周囲の様子を確かめています。目だけに頼らず、耳から入る情報も利用して生活しています。
毛づくろいに使う「歯のくし」
ワオキツネザルの口には、下あごの前方に細い歯が並んだ「歯のくし」があります。この特殊な歯は、自分の毛を整えるときなどに利用されます。
さらに、仲間同士でも毛づくろいをします。体についたごみや寄生虫などを取り除くだけでなく、仲間との関係を保つ役割もあります。
しっかりした手足
ワオキツネザルの手足には、枝をつかむのに適した指があります。木の上では枝から枝へ移動し、地面では四本の足を使って歩きます。
木の上だけで生活するサルとは違い、地上で過ごす時間が長いこともワオキツネザルの特徴です。
ワオキツネザルの生態
朝になると日光浴
ワオキツネザルは朝になると、岩や木の枝などで日光浴をすることがあります。体を広げるようにして太陽の光を浴びる姿は、ワオキツネザルを代表する行動の一つです。
特に気温の低い朝には、体を温めるために日光を利用します。群れで並んで日光浴をすることもあります。
地面で食べ物を探す
ワオキツネザルは、木の上だけでなく地面でも食べ物を探します。果実や葉、花などを食べ、季節によって利用できる食べ物を変えながら暮らしています。
食べ物を探すときには、森の中を歩き回ります。乾燥した地域では、少ない食べ物を見つけることが生きるために重要です。
においで自分の存在を知らせる
ワオキツネザルは、においを使って自分の存在を知らせます。特にオスは、手首や胸などにある臭腺から出るにおいを利用し、枝や植物などにこすりつけることがあります。
このにおいは、ほかの個体に自分が通った場所などを知らせる手がかりになります。ワオキツネザルは、鳴き声だけでなく、においも利用して周囲と関わっているのです。
群れで暮らす
ワオキツネザルは、複数の個体が集まった群れで生活します。群れの中にはオスやメス、子どもなどがいて、一緒に移動したり、休んだりしながら過ごします。
群れで暮らすことで、仲間と同じ場所で食べ物を探したり、危険がないか周囲を確認したりできます。仲間とのつながりを保ちながら生活することが、ワオキツネザルの暮らしの大きな特徴です。
赤ちゃんが生まれる
ワオキツネザルの繁殖期は季節が限られており、メスは通常1頭の赤ちゃんを産みます。食べ物が豊富な年には、双子が生まれることもあります。妊娠期間は約4か月半です。
生まれた赤ちゃんは母親のおなかにつかまり、成長すると背中に乗るようになります。母親に守られながら少しずつ体を動かす範囲を広げ、やがて自分で行動できるようになっていきます。
子どもが成長する
子どもは成長するにつれて、自分で歩いたり食べ物を探したりするようになります。群れの中でほかの仲間と関わりながら、ワオキツネザルとしての生活を身につけていきます。
毛づくろいなどの行動も覚え、仲間との関係を作ることも成長の大切な一部です。
ワオキツネザルの天敵
ワオキツネザルを狙う動物には、猛禽類やヘビなどがいます。地上で活動する時間が長いため、空からだけでなく地面から近づく敵にも注意しなければなりません。
仲間と一緒に暮らすことで、周囲の変化に気づきやすくなります。危険を感じたときには、すぐに逃げたり身を隠したりします。
ワオキツネザルを守るために
ワオキツネザルは、森林の減少や生息地の変化などによって影響を受けています。特にマダガスカルでは、森林が農地などへ変わることで、野生動物が暮らせる場所が少なくなっています。
ワオキツネザルを守るには、森林や乾燥林などの生息地を残すことが大切です。野生の個体が安心して食べ物を探し、子どもを育てられる環境を守る必要があります。
まとめ
ワオキツネザルといえば、白と黒の輪が並ぶ長いしっぽが有名です。しかし、その魅力は見た目だけではありません。地面と木の上を使い分け、群れで協力しながら暮らしています。
朝の日光浴や仲間同士の毛づくろいなど、独特な行動も見られます。マダガスカルの環境に合わせて生きるワオキツネザルを知ることは、その生息地を守ることを考えるきっかけにもなります。