ハリネズミ
背中をたくさんの針で覆われたハリネズミ。危険を感じると体を丸く縮め、針を立てて身を守る姿がよく知られています。
かわいらしい姿が人気の動物ですが、野生のハリネズミは夜になると活発に動き出します。草むらや落ち葉の中を歩きながら、昆虫やミミズなどの食べ物を探します。
また、寒い地域では冬になると冬眠するなど、季節の変化に合わせた暮らしをしています。ここでは、ヨーロッパを中心に暮らすナミハリネズミを紹介します。
ナミハリネズミ
真無盲腸目(ハリネズミ形類) ハリネズミ科 ハリネズミ属
準絶滅危惧
学名 Erinaceus europaeus
英名 Western European Hedgehog
- 体長 約15~30cm
- 体重 約600~1,500g
- 分布 ヨーロッパを中心とした地域
- 生息地 草地、森林の縁、農地、庭、公園など
- 食べ物 昆虫、ミミズ、クモ、カタツムリなど
- 寿命 野生では約6年まで生きることがあります
ナミハリネズミは、丸い体と背中を覆うたくさんの針が特徴的なハリネズミです。夜に活動し、地面や落ち葉の中から小さな生き物を探して食べます。
近年は、生息地の減少や道路での交通事故などによって、数が減っている地域があります。身近な場所で見られる一方で、保護が必要とされている動物です。
ハリネズミの分布
ナミハリネズミは、イギリスやフランス、ドイツなどの西ヨーロッパを中心に生息しています。さらに北ヨーロッパや東ヨーロッパの一部にも分布し、比較的広い地域で見ることができます。
森林の中だけで生活するわけではなく、農地や草地、林の縁など、さまざまな環境を利用します。特に、草や低木があり、身を隠せる場所が多い環境を好みます。
人間の生活する地域にも入り込み、庭や公園、墓地などで見つかることがあります。昼間に休める隠れ場所と、夜に餌を探せる環境があれば、都市に近い場所でも生活できます。
【生息地】草地、森林の縁、農地、庭、公園など
ハリネズミの特徴
体の大きさ
ナミハリネズミの体長は約15~30cmで、丸みを帯びた体に短い足がついています。小さな体を低くして歩くため、草むらや落ち葉の中を進むときにも動きやすい姿をしています。
体重は季節によって変わります。特に冬眠をする前には、冬を乗り越えるためにたくさん食べて脂肪を蓄えるので、秋ごろには体重が増えていきます。
小さな体ですが、夜になると餌を探してかなり広い範囲を歩き回ります。短い足を上手に使って、草むらや林の中を進んでいきます。
背中の針は何のため?

ハリネズミの背中を覆っている針は、普通の毛が硬く変化したものです。主な成分はケラチンで、成獣では約5,000~7,000本もの針があります。
この針は、外敵から身を守るために役立ちます。ハリネズミが体を丸くすると、顔やお腹などの柔らかい部分が内側に隠れ、針のある背中が外側になります。
針はずっと同じものを使うわけではなく、古くなると抜け落ちて新しいものに入れ替わります。成長するにつれて、少しずつ大人と同じような針になっていきます。
どうして丸くなるの?

ハリネズミは危険を感じると、背中の筋肉を縮めて体を丸くします。すると顔やお腹が内側に隠れ、外側にはたくさんの針が並ぶことになります。
これは、外敵から攻撃されにくくするための大切な防御方法です。小さな体を守るために、自分の背中を針の盾にしているともいえます。
ただし、針があるからといって、すべての敵から身を守れるわけではありません。アナグマなど、丸くなったハリネズミにも攻撃できる動物がいます。
鼻を使って餌を探す

ハリネズミは、細長い鼻を地面に近づけながら餌を探します。特に夜に活動するため、においを感じ取る力は、食べ物を見つけるうえで大切です。
落ち葉や草の下には、昆虫やミミズなどが隠れています。ハリネズミは鼻を動かしながら地面を調べ、においを手がかりにして獲物を探します。
また、耳もよく働き、周囲の音にも注意を払っています。暗い夜の中では、目だけに頼らず、鼻や耳を使って周囲の様子を確かめています。
短い足で元気に歩く
ハリネズミは短い足を持っていますが、夜になると餌を探して活発に歩き回ります。食べ物がいつも同じ場所にあるわけではないため、いろいろな場所を探して移動します。
草むらや林の縁だけでなく、庭や公園など、人間の暮らす場所も利用します。餌になる生き物がいて、身を隠せる場所があれば生活できるのです。
さらに、ハリネズミは泳ぐこともでき、狭いすき間を通り抜けるのも得意です。見た目から想像するよりも、意外と行動力のある動物です。
ハリネズミの生態
何を食べるの?
ハリネズミは昆虫を中心に、ミミズやクモ、カタツムリなど、さまざまな小さな生き物を食べます。
昆虫では、甲虫やアリ、ハチ、ガなどを食べることがあります。また、カエルやトカゲ、小さなヘビなどを食べることもあり、食べ物の種類は意外と豊富です。
食べ物が少ないときには、果実などを口にすることもあります。その時期に見つけられる食べ物を利用しながら生活できることは、ハリネズミの強みの一つです。
夜になると活動開始
ハリネズミは主に夜に活動する動物です。昼間は巣や草むらなど、安全な場所で休み、周囲が暗くなると餌を探しに出かけます。
夜になると地面を歩きながら、鼻を動かして草や落ち葉の中を調べます。昆虫やミミズなどを見つけると、その場で食べます。
夜に活動することで、昼間に活動する動物との出会いを減らせるほか、暑い時間帯を避けることもできます。ハリネズミにとって夜は、餌を探す大切な時間なのです。
一匹で暮らすのが基本
ハリネズミは、普段は一匹で生活する動物です。群れを作ることはなく、それぞれが自分の行動範囲を移動しながら餌を探します。
オスとメスが一緒に行動するのは、主に繁殖の時期です。繁殖期には、においや鳴き声などを使って相手とやり取りします。
繁殖が終わると再び別々に暮らします。オスは子育てにも参加せず、母親が一匹で赤ちゃんを育てます。
冬はどうやって過ごすの?

寒い地域のハリネズミは、冬になると冬眠します。冬眠前にはたくさんの餌を食べて脂肪を蓄え、食べ物が少なくなる季節に備えます。
冬眠中は体温や心拍数が下がり、体の働きをゆっくりにすることで、使うエネルギーを少なくします。気温などによっては、途中で目を覚ますこともあります。
冬眠には、落ち葉や草などを利用して作った巣を使います。雨風を防ぎやすく、寒さから身を守れる場所を選んで冬を過ごします。
赤ちゃんが生まれる
ナミハリネズミの妊娠期間は約30~49日で、1回に1~9頭ほどの赤ちゃんが生まれます。春から秋にかけて繁殖し、条件がよければ1年に2回子どもを産むこともあります。
赤ちゃんは生まれたときから針を持っています。ただし、針はまだ柔らかく、成獣のように硬くありません。生まれてから時間がたつにつれて、針が伸びてしっかりしていきます。
生まれたばかりの赤ちゃんは目も開いておらず、自分で餌を探すこともできません。母親のそばで過ごしながら成長し、少しずつ体が大きくなっていきます。
お母さんが赤ちゃんを育てる
母親は巣の中で赤ちゃんに母乳を与えながら、成長を見守ります。赤ちゃんが小さいうちは自分で餌を取れないため、母親から栄養をもらって体を大きくしていきます。
成長すると少しずつ巣の外へ出るようになり、母親について歩く姿も見られます。この時期には、周囲の環境や餌を探す方法などを覚えていきます。
やがて自分で餌を取れるようになると母親から離れます。こうして子どもは一人で生活できるようになり、成長したハリネズミは再び単独で暮らします。
ハリネズミの天敵
ハリネズミの天敵には、アナグマやキツネ、大型のフクロウなどがいます。小さな赤ちゃんは大人よりも体が弱いため、さらに注意が必要です。
危険を感じたときには体を丸くして針を立てますが、アナグマのように丸くなったハリネズミにも攻撃できる動物がいます。そのため、針だけで安全が守られるわけではありません。
また、人間の暮らす地域では、道路を渡るときに車にひかれる事故も大きな問題です。自然の中だけでなく、人間の生活によって命を落とすこともあります。
ハリネズミを守るために
ハリネズミは、農地の変化や都市開発などによって、生息できる場所が少なくなっています。道路が増えることで、生活する場所が分断されてしまうこともあります。
また、餌になる昆虫が減ることも問題です。ハリネズミが安心して暮らすためには、草むらや林の縁など、餌を探したり隠れたりできる場所を残すことが大切です。
庭や公園でも、草や落ち葉が残る場所を作ることはハリネズミの助けになります。人間とハリネズミが同じ地域で暮らせる環境を守っていくことが重要です。
まとめ
ハリネズミは、背中のたくさんの針と、危険を感じると体を丸くする習性が特徴的な動物です。夜になると鼻や耳を使って餌を探し、寒い地域では冬眠して冬を乗り越えます。
赤ちゃんは母親に育てられ、成長すると一匹で暮らします。小さな体には、外敵から身を守るだけでなく、季節の変化に対応するための工夫もたくさんあります。
かわいらしい姿で知られるハリネズミですが、野生では厳しい環境の中で生きています。身近な自然を守ることは、ハリネズミの暮らせる場所を守ることにもつながります。