シロイルカ(ベルーガ)

上の写真は、『バブリング』と呼ばれる泡の輪を吐き出している様子です。
クジラ偶蹄目 イッカク科 シロイルカ属
学名 Delphinapterus leucas
英名 white whale
- 全長 3~4.6m
- 体重 400~1,600kg
- 分布 北極海、ベーリング海北部、オホーツク海など
- 生息地 沿岸、外洋
- 食べ物 魚類、貝類、甲殻類(カニ、エビ)、軟体動物(イカ、タコ)
「海のカナリア」と呼ばれる白いクジラ
シロイルカは北極海周辺に暮らす小型のクジラです。体が真っ白なことから「ホワイトホエール」とも呼ばれ、日本では「ベルーガ」の名前でも親しまれています。ベルーガはロシア語で「白い」という意味が由来です。
「ヒューヒュー」「キーキー」と美しい声で鳴くことから、『海のカナリア』という愛称でも知られています。
シロイルカの分布

シロイルカは、北極海やベーリング海北部、オホーツク海などに分布しています。
【生息地】沿岸、外洋
シロイルカの特徴
体の大きさ
シロイルカは体長3~5.5m、体重は400~1,600kgほどになります。オスはメスよりも大きく成長し、北極の寒い海で暮らせるように、丸みのあるずんぐりとした体をしています。
皮ふの下には厚い脂肪があり、氷点下になる海でも体温を保つことができます。
白い体
生まれたばかりの体の色は濃い灰色です。2歳ごろで灰色となり、成長するにつれて体の色が白くなっていきます。体全体が白くなるクジラは、シロイルカだけです。
北極圏で生活しているので、白い海氷の中では、体の白さはホッキョクグマなどの捕食者から見つかりにくくなるメリットがあります。
メロン(頭)

シロイルカの頭は大きく丸くふくらんでいます。この部分は「メロン」と呼ばれる脂肪のかたまりです。
メロンは音を集めたり方向を変えたりする大切な役割があります。シロイルカはメロンを使って超音波を出し、「エコーロケーション(反響定位)」を行います。音が魚や岩などに当たって返ってくることで、獲物までの距離や大きさ、周りの様子を知ることができます。
海の中が暗かったり、水がにごっていたりしても正確に泳ぎ回ることができるのは、この優れた能力のおかげです。
頭の上に鼻の穴
シロイルカの鼻の穴は頭の上にあって、ここで呼吸をしています。
水の中では穴は閉じていますが、水面に出ると穴が開きます。
背びれがない

シロイルカにはイルカのような大きな背びれがありません。背中はゆるやかに盛り上がった形をしています。
これは流氷の下を泳ぎやすくするための特徴です。氷の割れ目から呼吸をしたり、薄い氷を押し上げて空気を吸ったりするときにも役立っています。
首が自由に動く

ほとんどのイルカは首の骨がつながっているため、首を自由に動かすことができません。しかしシロイルカは首を左右や上下へ動かすことができます。
そのため海底や岩のすき間にいる魚を見つけやすく、狭い場所でも周囲を確認しながら泳ぐことができます。
よく聞こえる耳
シロイルカは視力だけでなく、聴覚もとても発達しています。
仲間が出す鳴き声や反射して戻ってくる音を聞き分けることで、周りの様子を知ったり仲間と連絡を取り合ったりしています。
シロイルカの生態
何を食べるの?
シロイルカは肉食性で、魚類、軟体動物(イカ、タコ)、甲殻類(エビ、カニ)、貝類を食べます。
大きくするどい歯がないので、獲物をほぼ丸呑みします。
大きな群れで暮らす
普段は数頭から20頭ほどの群れで生活しています。
しかし夏になると数百頭から数千頭もの大きな群れになることがあります。群れで行動することで、天敵から身を守ったり、仲間と情報を共有したりしています。
海のカナリア

シロイルカは、「ヒューヒュー」「キーキー」「ピーピー」など、さまざまな声を出します。
鳴き声の種類は非常に多く、その美しい声から「海のカナリア」と呼ばれています。仲間どうしで会話をしたり、親子で連絡を取り合ったりするときにも鳴き声を使います。
夏に脱皮する!

夏になると河口や浅瀬へ移動し、小石や砂利に体をこすりつけて古くなった皮ふをはがします。
この行動は「ラビング(Rubbing)」と呼ばれています。古くなった皮ふを落とし、新しい皮ふに生まれ変わるための大切な習性です。
泡遊びが大好き!
水族館でも有名ですが、シロイルカは口から空気を出して泡の輪を作る「バブリング」が得意です。泡を追いかけたり、輪を大きくしたりして遊ぶ姿が観察されています。
知能が高く、遊び好きな動物として知られています。
北極の海を旅する
シロイルカは一年中同じ場所で暮らしているわけではありません。
季節によって海氷の広がりやエサの量が変わるため、群れで移動しながら生活しています。夏は河口や浅い海へ集まり、冬は流氷の周辺で過ごすことが多くなります。
赤ちゃんが生まれる
妊娠期間は約14か月で、1回に1頭の赤ちゃんを出産します。
赤ちゃんはお母さんの母乳を飲んで育ち、1年以上親子で一緒に生活します。その間に泳ぎ方やエサの探し方、仲間とのコミュニケーションを少しずつ覚えていきます。
シロイルカの天敵
シロイルカの主な天敵はシャチとホッキョクグマです。
特に子どもは狙われやすいため、群れで行動して身を守ります。また、流氷が多い場所を利用することで、大型の天敵から逃げることもあります。
シロイルカを守るために
地球温暖化による海氷の減少や海洋汚染、船舶の騒音などによって、シロイルカの生活環境は少しずつ変化しています。また、一部の地域では開発によって生息地への影響も心配されています。
北極の豊かな海を守ることは、シロイルカだけでなく、多くの海の生き物を守ることにもつながります。
まとめ
シロイルカは北極の海に暮らす白いクジラです。
「メロン」と呼ばれる頭や、美しい鳴き声、首を自由に動かせる特徴など、ほかのクジラにはない魅力をたくさん持っています。北極の豊かな自然を守り、シロイルカがこれからも安心して暮らせる環境を未来へ残していきたいですね。