ヤマネコ
日本には野生でくらすヤマネコが2種類います。長崎県対馬だけに生息するツシマヤマネコと、沖縄県西表島だけに生息するイリオモテヤマネコです。
どちらもベンガルヤマネコの亜種と考えられており、日本だけに生息する大変貴重な野生のネコです。見た目はイエネコによく似ていますが、体つきや毛並み、くらし方には野生で生きるためのさまざまな工夫があります。
しかし、生息地の減少や交通事故、外来生物の影響などによって個体数は大きく減少し、現在は国の天然記念物や国内希少野生動植物種に指定され、絶滅危惧種として保護されています。
今回は、日本に生息する2種類のヤマネコ、「ツシマヤマネコ」と「イリオモテヤマネコ」の特徴や違い、生態について紹介します。
ツシマヤマネコ

出典:東京ズーネット
ネコ目(食肉目) ネコ科 ベンガルヤマネコ属
国指定特別天然記念物 国内希少野生動植物種
絶滅危惧種
学名 Prionailurus bengalensis euptilurus
英名 Tsushima leopard cat
- 体長 50~60cm
- 尾長 20~25cm
- 体重 オス3.5~5kg メス3~3.5kg
- 分布 長崎県対馬
- 生息地 森林・草地・水田周辺
- 食べ物 ネズミ、鳥、昆虫、カエルなど
イリオモテヤマネコ

出典:西表野生生物保護センター
ネコ目(食肉目) ネコ科 ベンガルヤマネコ属
国指定特別天然記念物 国内希少野生動植物種
絶滅危惧種
学名 Prionailurus bengalensis iriomotensis
英名 Iriomote cat
- 体長 50~65cm
- 尾長 20~25cm
- 体重 オス3.5~5kg メス3~3.5kg
- 分布 沖縄県西表島
- 生息地 森林・湿地・マングローブ・河川周辺
- 食べ物 ネズミ、鳥、ヘビ、トカゲ、カエル、昆虫、カニなど
分布
ツシマヤマネコは長崎県の対馬だけ、イリオモテヤマネコは沖縄県の西表島だけに生息しています。
どちらも約10万年以上前、海面が低く日本列島と大陸が陸続きだった時代に、ベンガルヤマネコの祖先が日本へ渡り、その後、島が海で隔てられたことで独自に進化したと考えられています。
現在では島の外に野生の個体は存在せず、それぞれ世界中で対馬と西表島だけに生息しています。
ツシマヤマネコはコナラ林やスギ林、水田周辺など比較的標高の低い森林を中心に生活しています。一方、イリオモテヤマネコは森林だけでなく、湿地やマングローブ林、川辺など水辺の多い環境にも生息しており、水に入って獲物を捕まえることもあります。
島全体が生息地となるため、環境の変化がそのまま個体数に大きく影響することが特徴です。
特徴

体の大きさ
ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコは、どちらもイエネコとほぼ同じくらいの大きさです。
体長は約50~65cm、体重はオスで5kg前後、メスは3~3.5kgほどです。
見た目は小柄ですが、体は筋肉質で足もしっかりしており、木登りや岩場の移動、獲物を追いかけるのに適した体つきをしています。
尾は20~25cmほどとやや短く、とても太いことも特徴です。
額には縦じま模様がある

日本のヤマネコは、どちらも額に黒い縦じまがあります。
イエネコにも縞模様がある種類はいますが、ツシマヤマネコやイリオモテヤマネコでは、額から鼻に向かってはっきりと伸びる縦じまが特徴です。
野外調査では、この模様が個体を見分ける手がかりになることもあります。
耳の後ろの白い斑点
耳の裏には白い丸い模様があります。
これは虎耳状斑(こじじょうはん)と呼ばれ、多くの野生ネコの仲間にも見られる特徴です。暗い森の中でも子どもが母親を見失わないようにする目印になっていると考えられています。
また、後ろから近づく動物に対して目のように見せ、相手を警戒させる役割があるともいわれています。
はっきりしない斑点模様

体には黒や茶色の斑点がありますが、ヒョウのようにはっきりした模様ではありません。
ツシマヤマネコは灰色がかった毛色にぼんやりとした斑点が並び、落ち葉や木の幹に溶け込みやすくなっています。
イリオモテヤマネコも同じような模様ですが、全体的にやや濃い毛色で、足や尾の縞模様が比較的目立ちます。
この毛色のおかげで森林の中では見つかりにくく、獲物にも気づかれにくくなっています。
太くて短いしっぽ

どちらのヤマネコもしっぽは短く、とても太いのが特徴です。
イエネコのように細長いしっぽではなく、太いしっぽには数本の黒っぽい縞があります。木登りや急な斜面を歩くときには、しっぽでバランスを取りながら移動しています。
イリオモテヤマネコだけに見られる特徴

ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコはよく似ていますが、イリオモテヤマネコには目の周りに白い模様があります。
歌舞伎役者の「くまどり」のようにも見えることから、見分けるポイントの一つになっています。
また、足の裏は発達していて、湿った地面や岩場でも歩きやすく、西表島の自然環境に適応した体つきをしています。

