コツメカワウソ

5月最終水曜は『世界カワウソの日』
ネコ目(食肉目) イタチ科 ツメナシカワウソ属
学名 Aonyx cinerea
英名 Asian small-clawed otter
- 体長 45~61cm
- 尾長 25~35cm
- 体重 3~6kg
- 分布 南アジア・東南アジア
- 生息地 川、湖、湿地、マングローブ林、水田など
- 食べ物 カニ、エビ、貝、魚、カエルなど
イタチ科のなかま

イタチ科には、コツメカワウソのほかにも、ラッコ、ユーラシアカワウソ、オオカワウソ、アナグマ、イタチ、テンなどがいます。
水辺でくらす種類、海でくらす種類、森林や草原でくらす種類など生活する場所はさまざまですが、細長い体と短い脚を持つ種類が多いことが共通しています。
また、多くの種類ではオスのほうがメスより大きくなります。
コツメカワウソの分布
コツメカワウソは、インドやスリランカなどの南アジアから、中国南部、タイ、マレーシア、インドネシアなど東南アジアに広く分布しています。
【生息地】川、湖、湿地、マングローブ林、水田など
流れの穏やかな水辺を好み、魚やカニ、貝などが豊富にいる場所でくらしています。
コツメカワウソとニホンカワウソ

コツメカワウソは現在も南アジアや東南アジアでくらしていますが、ニホンカワウソは2012年に絶滅したと判断されました。
どちらも水辺でくらすカワウソですが、ニホンカワウソのほうが体が大きかったと考えられています。
ニホンカワウソの絶滅は、自然環境を守ることの大切さを教えてくれています。
コツメカワウソの特徴
体の大きさ
コツメカワウソは、体長45~61cm、体重3~6kgほどで、世界にいるカワウソの中では最も小さい種類です。
同じカワウソの仲間でも、南アメリカにくらすオオカワウソは体長が1.5m以上になるため、大きさには大きな違いがあります。
水中生活に適した体
体は細長く、脚は短い形をしています。
頭は丸く平たい形で、耳や目は小さく、水の抵抗を受けにくい体つきです。
手のように使える器用な前足
コツメカワウソの前足は、ツメがとても短く、水かきも小さいのが特徴です。5本の指を一本ずつ自由に動かせるため、まるで手のように器用に使うことができます。
この前足を使って、貝やカニをつかんだり、石をどけて下に隠れたエサを探したりします。くらしに合わせて進化した器用な前足は、コツメカワウソが水辺で生きるための大切な特徴です。
毛の中に空気をためる

コツメカワウソの毛はとても細かく密集しており、毛の間にたくさんの空気を閉じ込めています。この空気の層が断熱材のような役割をするため、冷たい水の中でも体温が奪われにくくなります。
この空気は泳ぎやすくするためではなく、体を冷えから守ることが主な役割です。そのため、コツメカワウソは毛づくろいをして、毛の中に空気を保つことをとても大切にしています。
長いしっぽ
長いしっぽは、水の中で方向を変えたりスピードを出したりするときに役立ちます。
また、陸上では立ち上がるときに体を支えたり、バランスを取ったりする働きもあります。
しっぽまで筋肉が発達しているため、水中でも陸上でも自由自在に動くことができます。
コツメカワウソの生態
何を食べるの?

コツメカワウソは肉食性で、水辺にくらす小さな動物を食べています。特にカニやエビ、貝などの甲殻類を好み、そのほかにも魚やカエルなどを食べます。
前足で獲物をしっかりつかみ、丈夫な歯で貝殻やカニの甲羅をかみ砕いて食べることができます。
群れでくらす

コツメカワウソは、カワウソの仲間ではめずらしく、家族を中心とした群れで生活します。
群れは2~15頭ほどで、親や兄弟が協力して子育てを行うこともあります。エサを探したり遊んだりするときも一緒に行動し、とても仲の良い動物です。
また、「ピーピー」「キュッキュッ」などの鳴き声や、体の動き、ニオイによるマーキングを使って仲間とコミュニケーションを取っています。
泳ぎが得意

コツメカワウソは、水の中を泳ぐことがとても得意です。
泳ぐときは足で水をかき、長いしっぽを左右に動かして進みます。潜水中は耳と鼻を閉じることができるため、水が入りません。
1回の潜水時間は数十秒から1分ほどですが、獲物を探しながら何度も潜って食事をします。
赤ちゃんが生まれる
妊娠期間は約60日です。通常は1~6頭の赤ちゃんを出産し、母親を中心に家族みんなで子育てをします。
赤ちゃんは目が閉じた状態で生まれ、生後およそ1か月で目が開きます。その後は親と一緒に水辺で遊びながら、泳ぎ方やエサの捕り方を少しずつ覚えていきます。
コツメカワウソの天敵
野生では、大型のワニやヘビ、猛禽類などに襲われることがあります。
しかし現在は、それ以上に森林や湿地の開発、水質汚染、違法なペット取引など、人間の活動が大きな脅威となっています。
コツメカワウソの寿命
野生での寿命は約10~15年です。
動物園では十分な栄養管理や治療を受けられるため、15~20年ほど生きる個体もいます。
日本の動物園では繁殖にも成功しており、種を守るための取り組みが続けられています。
コツメカワウソを守るために
コツメカワウソは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「危急種(Vulnerable)」に指定されています。
森林伐採や湿地の開発、水質汚染によって生息地が減少し、野生でくらす数は少なくなっています。また、ペット目的の違法な捕獲も大きな問題です。
現在は、生息地の保護や違法取引の取り締まり、動物園での繁殖活動などが行われています。
豊かな水辺の環境を守ることが、コツメカワウソを未来へ残すことにつながります。
まとめ
コツメカワウソは、世界で最も小さなカワウソです。小さなツメや器用な前足を使ってエサを探し、家族や仲間と協力しながら水辺で生活しています。
しかし現在は、生息地の減少や違法な捕獲によって野生の個体数が減少しています。
動物園でコツメカワウソを見かけたら、かわいらしい姿だけでなく、仲間との絆や水辺でくらすための工夫にも目を向けてみましょう。そして、きれいな川や湿地を守ることが、この小さなカワウソの未来につながることも忘れてはいけません。