バンドウイルカ
海の中をすいすい泳ぎ、ときには水面から大きくジャンプするイルカ。水族館でも人気の高い動物ですが、イルカの仲間にはたくさんの種類がいます。
その中でも、私たちが「イルカ」と聞いて思い浮かべることが多いのがバンドウイルカです。丸みのある額と短いくちばし、流線形の体が特徴で、世界各地の温帯や熱帯の海に広く暮らしています。
バンドウイルカは、泳ぐのが得意なだけではありません。音を使って周囲の様子を探ったり、仲間と協力して魚を捕まえたりするなど、海の中で暮らすためのさまざまな能力を持っています。
バンドウイルカの基本情報
クジラ偶蹄目(偶蹄目) ハクジラ亜目 マイルカ科 ハンドウイルカ属
学名 Tursiops truncatus
英名 Bottlenose Dolphin
- 体長 約2~4m
- 体重 約150~650kg
- 分布 世界各地の温帯・熱帯の海
- 生息地 沿岸・湾・河口・外洋など
- 食べ物 魚、イカ、エビなど
- 寿命 40年以上生きることがあります
バンドウイルカの分布
バンドウイルカは、世界各地の温帯から熱帯の海に広く分布しています。海岸近くの浅い海だけでなく、湾や河口、沖合の海など、さまざまな環境で見られます。
同じバンドウイルカでも、暮らす場所によって体の大きさや色などに違いが見られることがあります。海岸近くで暮らす個体と沖合で暮らす個体では、体つきが異なる場合もあります。
【生息地】沿岸・湾・河口・外洋など
バンドウイルカの特徴
体の大きさ
バンドウイルカは、体長約2~4mになる大型のイルカです。体は細長く、水の抵抗を受けにくい流線形をしています。
体の大きさや体重には、暮らす地域や個体によって違いがあります。オスのほうがメスより大きくなる傾向があります。
背中には背びれがあり、左右には胸びれ、後ろには大きな尾びれがあります。それぞれのひれを使い分けることで、水中を自由に動くことができます。
丸い額と短いくちばし
バンドウイルカの顔を見ると、額が丸く盛り上がっているのが分かります。この部分は「メロン」と呼ばれ、音を出したり受け取ったりするときに関係しています。
短く太めのくちばしも特徴の一つです。背中側は灰色で、おなか側は明るい色をした個体が多く、体の上下で色が違っています。
強い尾びれ
バンドウイルカの尾びれは、泳ぐための大切な器官です。左右に分かれた尾びれを上下に動かすことで、体を前へ進ませる力を生み出します。
尾びれを強く動かせば速く泳ぐことができ、動きを小さくすればゆっくり進むこともできます。方向を変えるときには胸びれなども使います。
水の中をすばやく泳ぐ
バンドウイルカの体は、水の抵抗を受けにくい形になっています。体をしなやかに動かしながら、強い尾びれで水を後ろへ押して前へ進みます。
この体のつくりによって、魚を追うときだけでなく、長い距離を移動するときにも効率よく泳ぐことができます。
音を使って周囲を探る
バンドウイルカは「エコーロケーション」という能力を使います。高い音のクリック音を出し、その音が物に当たって返ってくることで、周囲の物の位置や大きさなどを探ります。
海の中では、暗い場所や濁った水の中など、目だけでは周囲を確認しにくいことがあります。音を利用することで、目では分からない情報も得ることができます。
バンドウイルカの生態
魚やイカを食べる
バンドウイルカは、魚やイカ、エビなどを食べます。どのような獲物を食べるかは、暮らしている海域によっても変わります。
歯は獲物をかみくだくためというより、魚などをしっかりつかむために使われます。捕まえた獲物は、そのまま飲み込んで食べます。
仲間と暮らす
バンドウイルカは、複数の個体で一緒に行動することがあります。仲間同士で泳いだり、体を触れ合わせたりしながら過ごし、さまざまな方法で情報を伝え合います。
群れのメンバーはいつも同じとは限らず、集まったり離れたりしながら変化します。オス同士が強い結びつきをつくることもあります。
仲間と協力して狩りをする
バンドウイルカは、仲間と協力して魚を捕まえることがあります。複数の個体で魚の群れを追い込み、魚をまとまった場所へ集めてから捕まえることもあります。
1頭だけでは追いにくい魚の群れも、仲間と動きを合わせることで捕まえやすくなります。協力して食べ物を手に入れるところも、バンドウイルカの興味深い生態です。
赤ちゃんが生まれる
メスの妊娠期間は約12か月で、通常は1頭の赤ちゃんを産みます。生まれた赤ちゃんは、母親のすぐそばを泳ぎながら生活します。
母親は赤ちゃんに乳を与えながら世話をします。赤ちゃんは母親から離れすぎないようにしながら、泳ぎ方や海の中での生活を少しずつ覚えていきます。
子どもが育つ
イルカの赤ちゃんは、母親の泳ぎをまねしながら成長していきます。母親のすぐ後ろについて泳ぐことで、泳ぐときの負担を減らせると考えられています。
成長すると魚などを食べる練習も始まり、少しずつ自分で獲物を捕まえる力を身につけます。母親と一緒に行動しながら、海で暮らすためのさまざまなことを覚えていきます。
天敵
成長したバンドウイルカは大きく、泳ぐ力も強いため、海の中で簡単に狙われる動物ではありません。しかし、子どもや弱った個体は、サメなどの捕食者に襲われることがあります。
危険を感じたときには、仲間と一緒に行動したり、すばやく泳いで逃げたりします。特に子どもの時期は体が小さいため、母親や仲間の近くで過ごすことが身を守ることにもつながります。
バンドウイルカを守るために
バンドウイルカは世界中の海に広く分布していますが、地域によっては漁業用の網に誤ってかかったり、海の環境が変化したりすることが問題になっています。
また、海に流れ込んだごみや水質の変化なども、海で暮らす動物に影響を与える可能性があります。野生のイルカを守るためには、イルカだけでなく、イルカが暮らす海の環境を守ることが大切です。
野生のイルカを見つけたときも、むやみに近づいたり餌を与えたりせず、自然な行動を邪魔しない距離から観察することが大切です。
まとめ
バンドウイルカは、世界各地の海で暮らす身近なイルカの仲間です。流線形の体と強い尾びれを使って泳ぎ、魚やイカなどを捕まえて食べています。
さらに、音を使って周囲を探るエコーロケーションや、仲間と協力して魚を捕まえる行動など、海の中で暮らすためのさまざまな能力を持っています。
水族館で見る機会の多いイルカですが、海では自分で獲物を探し、仲間と関わりながら暮らしています。かわいらしい姿の奥には、海で生きるためのたくさんの工夫が隠れているのです。